著者：株式会社Anything

解体工事を頼みたいけれど、コンクリートの発生量ってどうやって計算するのか、想定外の廃棄物費用がかかるのが怖い…そんな疑問や不安を感じていませんか。

本記事では、正確な計算式を軸に、建物の構造別にどれくらいのコンクリートが解体時に出るのか、なぜ業者任せだけでは危険なのか、依頼者が知っておくべき積算の本質に踏み込みます。

さらに、発生量を正確に把握することで、予算オーバーや処理契約ミスを回避できる実践的なチェックポイントも紹介。環境への配慮や再資源化の法令対応にもつながる知識が、この記事の中に詰まっています。

解体時のコンクリート発生量とは

コンクリート発生量とは、解体工事を行う際に発生するコンクリート廃材の体積や重量を指し、廃棄物処理や再資源化の計画において極めて重要な数値となります。建物を取り壊すとき、その構造や使われている材料によって、解体後に排出されるコンクリートの量は大きく異なります。一般的に、鉄筋コンクリート造の建物は、木造や鉄骨造に比べて使用されるコンクリートの量が圧倒的に多いため、発生量も多くなります。

たとえば、同じ100平方メートルの建物でも、木造であれば発生するコンクリートは基礎部分のみで済みますが、RC造であれば柱、梁、スラブ、基礎に至るまで構造体全体がコンクリートで構成されているため、10倍以上の廃材量となることもあります。また、築年数や地域によっても設計の基準や構造部材の厚みが異なるため、発生量は一律ではありません。

用途によっても大きな違いがあります。住宅用建築物の場合、居住性やコスト重視のため比較的軽量な構造が採用されることが多く、発生量はやや抑えられます。一方で、学校、病院、公共施設、工場などの業務用建築物は耐震性や耐久性が重視されるため、躯体が厚くコンクリートの使用量が非常に多くなります。たとえば小学校の校舎では、一棟あたり延床面積の0.35～0.45立方メートルに相当する量のコンクリートが使用されるケースが一般的です。

これらの背景から、コンクリート発生量の算出は、単なる建設副産物の処理量を知るだけでなく、解体工事費の見積もり、産業廃棄物の処理計画、法令遵守、環境への配慮など、極めて多くの目的において必要不可欠な情報となっています。発注者にとっても、提示される処理費用が適正かどうかを判断するためには、見積書の中で示されるコンクリート量がどのように算出されたのかを理解しておくことが重要です。

正確なコンクリート発生量を算出するためには、現地調査と図面の確認が欠かせません。解体予定の建物に使用されているコンクリートの厚み、建物の構造体の分布、地下構造の有無などを正確に把握し、構造ごとの係数をかけて算出することが実務の基本です。特に、現場での追加構造や改修履歴を見落とすと、積算と実際の発生量に大きな乖離が生じ、追加費用が発生する可能性もあります。

解体工事におけるコンクリート発生量の計算方法

解体工事におけるコンクリート発生量の計算は、正確な廃棄物処理計画を立てるための基本中の基本です。特に鉄筋コンクリート造（RC造）の建物では、構造体すべてがコンクリートで形成されており、その量は建物規模に比例して大きくなります。建設副産物の処理量を正確に見積もることは、工事費の精度、産業廃棄物の処理契約、行政への報告義務を果たす上で欠かせない工程です。

構造係数とは、建物の構造が特殊な場合や、地下階が存在する場合などに加味する補正値です。例えば、地下1階付きのビルや、耐震補強がされた建物では、通常の構造に比べてコンクリート量が多くなるため、係数1.1～1.3で調整するのが実務上の慣例です。

計算例を示すと、次のようになります。

発生量の計算例（RC造建物・延床面積250㎡・単位発生量0.35m³/㎡・構造係数1.1の場合）

項目	数値	補足
延床面積	250㎡	建物全体の床面積合計
単位発生量	0.35m³/㎡	RC造の平均的な数値
構造係数	1.1	地下階あり、耐震補強あり想定
発生量（m³）	250×0.35×1.1=96.25	合計コンクリート発生量（体積）
コンクリート比重	約2.3t/m³	建設副産物実態調査より
重量（t）	96.25×2.3=約221.4t	廃棄物処理や搬出時の重量換算に使用

この場合、発生するコンクリート量はおよそ96立方メートルと見積もられます。これを重量に換算する場合は、コンクリートの比重（約2.3t/m³）を掛けることで、約221トン程度の廃棄物が発生することになります。

建物構造ごとの目安を以下にまとめます。

建物構造	単位発生量（m³/㎡）	構造係数	コンクリート比重（t/m³）	特徴・補足
RC造	0.30〜0.45	1.0〜1.3	約2.3	構造体全体がコンクリート。学校・マンションに多い。
S造	0.20〜0.30	1.0〜1.1	約2.2	鉄骨との複合。オフィスビルに多い。床などに使用。
木造	0.05〜0.10	1.0	約1.2	基礎のみが対象。住宅で主流。

信頼できる解体業者の見極め方

解体工事を依頼する際、どの業者を選ぶかによって、工事の進行だけでなく、コンクリート発生量の算出精度、費用の妥当性、さらには法的トラブルの回避までが大きく左右されます。特に近年は建設リサイクル法や産業廃棄物処理法の規制強化により、単に安いだけの業者を選ぶリスクが高まっており、信頼性のある業者を見極めるための目が依頼者側にも求められています。

優良な解体業者にはいくつかの共通点があります。その一つが説明力の高さです。現地調査時に丁寧なヒアリングを行い、コンクリート発生量や廃棄物の内訳について根拠を持って説明できる業者は、積算や見積もりの精度が高く、トラブルが少ない傾向にあります。また、建設リサイクル法に関する知識を持ち、適切な報告書類（再資源化等実施計画書、マニフェストなど）を準備できる体制が整っているかも重要な確認ポイントです。

信頼できる業者を見極める際に有効な判断材料として、以下のチェックリストが活用できます。

チェック項目	評価ポイント
現地調査の丁寧さ	基礎・擁壁・外構など見落としなく確認しているか
説明のわかりやすさ	コンクリート発生量や処理費の計算根拠を提示できるか
書類対応の正確さ	見積書、積算書、契約書、行政提出書類が整っているか
法令知識・許認可の保有	建設業許可、産業廃棄物収集運搬許可、解体工事業登録などがあるか
実績の明示	過去の同規模案件・写真付き実績・口コミなどの提示があるか

依頼から契約までの流れも確認しておくことが重要です。多くのトラブルは、見積もり前の情報不足や契約時の認識違いに起因しており、明確な流れに沿って進行することで回避できます。

一般的な依頼の流れは次の通りです。

解体工事の依頼から契約までの流れ

ステップ	内容	目的・確認ポイント	依頼者が行うべきこと
1	問い合わせ	工事概要・スケジュール感・対応エリアを業者に確認	メールまたは電話で問い合わせを行う
2	現地調査日の設定	建物規模や周辺環境の実地確認のための訪問日調整	希望日を提示し、立ち会い準備をする
3	現地調査	延床面積、構造、基礎、外構、埋設物、搬出経路などを確認	図面や建築履歴などの情報を共有する
4	見積書・積算書の提出	発生量、費用、工期、対応内容を明記した資料を受け取る	内容をよく読み、不明点を質問する
5	契約条件のすり合わせ	工事範囲・支払条件・廃棄物の処理責任などを双方で確認	条件変更がある場合はこの時点で伝える
6	契約書の締結	工事内容と費用に関する正式な合意（書面化）	書類の記載内容を確認し、署名・捺印する
7	着工準備（届出・近隣対応等）	解体工事届、再資源化計画書提出、近隣説明、足場・仮設準備等	必要に応じて近隣に挨拶、行政手続きに協力

この流れを把握しておくことで、依頼者側も準備不足によるトラブルを防ぎ、信頼性の高い業者とスムーズに契約まで進めることができます。特に、現地調査から見積り説明の段階では、コンクリート発生量の積算根拠を明確にしてもらうことで、適正な費用設定や追加費用の抑制にもつながります。必要に応じてこの表を印刷・共有資料として活用することも可能です。

コンクリート発生量の計算を業者に任せるべき理由とは

コンクリート発生量の計算は、一見すると延床面積に係数を掛けるだけの単純な作業と考えられがちですが、実際には図面の解読、構造体の判別、補強構造の有無の確認など、専門的な判断が求められる高度な積算作業です。自社で対応しようとすると、想定よりも発生量に差異が出たり、処理費の過少見積により後から追加費用が発生するなど、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。

まずは工数削減です。自社で調査・計算・比較表作成・根拠説明などを一から行うには、多くの時間と専門知識が必要です。特に発注側が建築の専門家でない場合、正確性に欠ける積算をもとに見積書を作成してしまい、現場での数量超過や費用増大といった問題が起きることもあります。業者に依頼すれば、現地調査から積算まで一貫して行ってくれるため、時間的な負担を大幅に軽減できます。

そして次に、精度と実務経験です。信頼できる解体業者は、国土交通省や自治体が公開する標準値を基に、現場の特性を加味した補正を加えて積算を行います。現地調査時には、地中障害物や外構コンクリート、基礎の深さなどを目視・打診・計測し、より正確な発生量を算出します。また、業者が保有する過去の類似案件データを参考にすることで、経験則に基づいた信頼性の高い積算が可能です。

最後は法令対応力です。発生量の報告は、建設リサイクル法や廃棄物処理法に基づいて厳格に求められており、行政提出用の再資源化等実施計画書や解体工事届には、明確な根拠と書式が必要です。業者に任せれば、これらの提出書類を含めて一括対応してもらえるため、法令違反や書類不備のリスクを避けることができます。

以下は、業者依頼と自社計算の比較表です。

項目	自社で計算	業者に依頼した場合
必要な作業時間	多い	少ない（現場調査含めて一括）
積算精度	個人の知識に依存	現場確認＋データベースによる裏付け
書類作成の対応	法令対応に不安が残る	再資源化計画書・廃棄物契約書など対応可
発生量の調整・変更対応	再調査が必要になることが多い	実行予算・現場調整も含めた柔軟な対応可能
トラブル発生時の責任	すべて自社負担	契約に基づく業者側の責任範囲が明確

このように、発生量計算を業者に任せることで、業務の効率化・費用の適正化・トラブル回避という3つの大きなメリットが得られます。依頼の際は、過去の実績や積算手法、法令対応力を事前に確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。正確な発生量に基づいた計画は、解体工事を成功させるための第一歩です。

見積書取得から契約までの手順について

まずは、解体業者への問い合わせから始まります。電話やWebフォーム、メールでの連絡が一般的であり、この時点で建物の種類、所在地、延床面積などの基本情報を簡単に伝えることで、スムーズな対応が受けられます。優良な業者は、問い合わせ時点で大まかな流れや必要書類、調査日程について丁寧に案内してくれます。

次に現地調査の日程調整を行います。ここでは、業者が建物の構造、外構、基礎部分、周辺環境、搬出経路、埋設物の有無などを目視・打診・計測によって確認します。依頼者が立ち会うことで、後の見積もりに対する納得感や信頼性が格段に高まります。また、建物図面や登記簿謄本、増築履歴などをこのタイミングで業者に渡しておくと、積算の精度が向上します。

調査後は、数日以内に積算書と見積書が提出されます。ここで最も重要なのがコンクリート発生量の根拠が明記されているかという点です。単に金額の内訳だけではなく、延床面積や構造係数、単位発生量など、算出根拠が記載されているかを確認してください。また、廃棄物の種類ごとの処分方法、再資源化率、マニフェスト対応の有無なども記載されていると安心です。

契約前には、見積内容と契約書案のすり合わせが行われます。特にチェックすべきポイントは、工事の範囲、支払い条件、工期、工事開始日の調整、法令対応の責任分担、近隣対応の方法などです。ここで不明点をそのままにせず、文書で明文化しておくことで、後のトラブルを回避することができます。

すべてに納得したうえで、契約書を締結します。この契約書には、金額だけでなく、解体工事届の提出責任、建設リサイクル法に基づく計画書の作成義務、近隣説明の実施有無、緊急時対応などの内容も含まれているのが理想です。署名・押印が済めば、いよいよ着工準備に入ります。

以下の表は、依頼から契約までのステップを可視化したものです。

解体工事の依頼から契約までの手順

ステップ	内容	主な確認・準備事項
1	問い合わせ	建物概要、所在地、延床面積などの基本情報を伝える
2	現地調査の日程調整	立ち会い可否、図面準備、建物履歴の確認
3	現地調査	外構、基礎、擁壁、埋設物、搬出ルート、騒音リスクを確認
4	見積書・積算書の受領	発生量算出の根拠確認（㎡×発生率×構造係数）
5	契約前のすり合わせ	工期、費用、近隣対応、行政届出の責任範囲などを確認
6	契約書の取り交わし	書類に署名・捺印、工事日程・支払いスケジュールの確定

まとめ

コンクリート発生量の正確な計算は、解体工事の費用やスケジュール、法令対応に直結する重要な要素です。国土交通省の資料でも示されている通り、建物の構造や基礎の深さによって、実際のコンクリート量は最大3倍以上の差が生じることもあり、軽視すれば思わぬ追加費用や工期の遅延を招く恐れがあります。

特に、RC造やS造の建物では、延床面積だけでなく構造係数や単位発生量を加味した積算が不可欠です。延床面積に×単位発生量×構造係数をかけるという基本公式は、表面上はシンプルに見えても、実際の現場では増築履歴、埋設基礎、外構などの見落としが積算に大きなズレを生み出します。信頼できる業者による現地調査と実務経験に基づく積算が求められる理由はここにあります。

また、発生量の申告は建設リサイクル法や廃棄物処理法などの法制度にもかかわるため、法的なリスク回避のためにも、経験豊富な解体業者に依頼するのが賢明です。専門業者は行政提出用の再資源化等実施計画書やマニフェストの発行も含め、ワンストップで対応できる体制を整えています。

この記事で紹介した内容を活用すれば、どこにどれだけのコンクリートがあり、それがどのように発生し、どのくらいの費用になるのかを明確に把握できるようになります。これにより、費用の見積もり精度が向上するだけでなく、トラブルや損失の回避にもつながります。

解体工事を成功させる第一歩は、正しい情報をもとにした発生量の可視化です。目先の金額だけにとらわれず、根拠ある積算と信頼できるパートナー選びで、無駄のない解体計画を実現してください。

よくある質問

Q.解体工事でコンクリート発生量が大幅にズレる原因は何ですか？
A.発生量のズレは、延床面積だけでなく構造係数や単位発生量の誤認、さらには現場に埋設された基礎や外構の見落としが原因となることが多いです。特にRC造やS造の建物では、図面に載っていない部分にコンクリート廃材が大量に存在するケースがあり、これを見逃すと見積額と実際の廃棄物処理費用に差が生じます。解体前の丁寧な現場調査が不可欠であり、経験豊富な解体業者に依頼することで、正確なコンクリート発生量の計算が実現できます。

Q.解体に伴うコンクリート発生量の計算は自分で行っても問題ありませんか？
A.延床面積に単位発生量と構造係数を掛けるという計算式自体はシンプルに見えますが、実際の現場では構造の複雑さや補強履歴などを加味する必要があり、専門的な知識が求められます。正確な積算を行うには、構造別の発生量や補正係数を理解したうえで、現地の状態を的確に評価しなければなりません。見積もりの根拠としても重要になるため、信頼できる解体業者へ積算依頼することを強くおすすめします。

Q.コンクリートの発生量が契約後に増えてしまった場合、追加費用は発生しますか？
A.はい、契約時の見積もりよりもコンクリートの発生量が多くなった場合、その差分に応じて追加費用が発生する可能性があります。これは契約内容や見積書の記載方法によって異なりますが、多くの業者では発生量の増加分について廃棄物処理費や運搬費が別途請求されることがあります。そのため、契約前に見積もりの積算根拠や、追加費用の発生条件について確認しておくことが重要です。

Q.解体工事を依頼する際、信頼できる業者かどうかを判断するにはどうすればいいですか？
A.解体業者を選ぶ際は、許可の有無、実績の提示、法令対応力、そしてコンクリート発生量の説明力などを総合的にチェックする必要があります。信頼できる業者は、現地調査時に構造や基礎、擁壁の状態まで細かく確認し、明確な根拠をもとに見積書と積算書を提示してくれます。また、建設リサイクル法や廃棄物処理法への対応がしっかりしており、再資源化等実施計画書やマニフェスト発行にも対応可能な体制が整っているかどうかも、業者選定の重要な基準となります。

会社概要

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